運行管理者試験対策【運行管理者の責務と日常業務】

運行管理者の日常業務運行管理者の実務的な応用問題が多く出題される

雇い入れ時の事故惹起運転者該当有無の確認

運転免許証

  • 運行管理者は、事業用自動車の運転者として新たに雇い入れた場合には、自動車安全運転センターが交付する運転記録証明書等により、交通事故歴等を確認すること。また、乗務前点呼において運転者に運転免許証の提示を求め、確認すること。(H29①)

日常業務の記録及び保存期間

乗務員台帳

書類

  • 運行管理者は、事業用自動車の運転者が他の営業所に転出し当該営業所の運転者でなくなったときは、直ちに、乗務員台帳に運転者でなくなった年月日及び理由を記載し、3年間保存しなければならない。(R2①)
  • → 履歴書を乗務員台帳の代用に使用することは不可(H29①、H30①)

乗務割の作成

乗務割

  • 運行管理者は、事業者が定めた勤務時間及び乗務時間の範囲内で、運転者が過労とならないよう十分考慮しながら、天候や道路状況などを勘案しつつ、乗務割を作成している。なお、乗務については、早めに運転者に知らせるため、事前に予定を示すことにしている。(H30①)

点呼の記録

点呼記録簿

  • 運行管理者は、事業用自動車の運転者に対する乗務前点呼において、酒気帯びの有無については、目視で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認するとともに、点呼を行った旨並びに報告及び指示の内容等を記録し、かつ、その記録を1年間保存しなければならない。(R2①)

運行記録計

チャート紙

  1. 運行管理者は、貸切バスに装着された運行記録計により記録される「瞬間速度」、「運行距離」及び「運行時間」等により運転者の運行の実態や車両の運行の実態を分析し、運転者の日常の乗務を把握し、過労運転の防止及び運行の適正化を図る資料として活用しており、この運行記録計の記録を1年間保存しなければならない。(H29①、H30②、R2①)
  2. 運行管理者は、デジタル式運行記録計の記録図表(24時間記録図表や12分間記録図表)等を用いて、最高速度記録の▼マークなどを確認することにより最高速度超過はないか、また、急発進、急減速の有無についても確認し、その記録データを基に運転者に対し安全運転、経済運転の指導を行う。(H30②)

点呼の際に気を付けたいこと

運転者の意識や言葉に異常な症状

注意事項

  1. 事業者や運行管理者は、点呼等の際に、運転者が意識や言葉に異常な症状があり普段と様子が違うときには、すぐに専門医療機関で受診させている。また、運転者に対し、脳血管疾患の症状について理解させ、そうした症状があった際にすぐに申告させるように努めている。(H30①)
  2. 乗務前の点呼において運転者の健康状態を的確に確認することができるようにするため、健康診断の結果等から異常の所見がある運転者又は就業上の措置を講じた運転者が一目で分かるように、個人のプライバシーに配慮しながら点呼記録表の運転者の氏名の横に注意喚起のマークを付記するなどして、これを点呼において活用している。(H29②)

非常時の運行管理者及び乗務員の責務

異常気象時

異常気象

  1. 運行管理者(旅客自動車運送事業者)は、天災その他の理由により輸送の安全の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、事業用自動車の乗務員に対する必要な指示その他輸送の安全のための措置を講じなければならない。(H29①、H29②、R1①)
  2. 運行管理者は、事業用自動車の運行中に暴風雪等に遭遇した場合、運転者から迅速に状況を報告させるとともに、その状況に応じて、運行休止を含めた具体的な指示を行うこととしている。また、報告を受けた事項や指示した内容については、異常気象時等の措置として、詳細に記録している。(H30①)
  3. 運行管理者は、運転者に法令に基づく運行指示書を携行させ、運行させている途中において、自然災害により運行経路の変更が生じた場合には、運転者にその内容、理由及び指示をした運行管理者の氏名を運行指示書に記入させること。(H29①、H30①)

従業員への指導・監督の記録

指導・監督の記録

  • 運行管理者は、事業用自動車の運転者に対し、事業用自動車の構造上の特性、乗車中の旅客の安全を確保するために留意すべき事項など事業用自動車の運行の安全及び旅客の安全を確保するために必要な運転に関する技能及び知識等について、適切に指導を行うとともに、その内容等について記録し、かつ、その記録を営業所において3年間保存しなければならない。(R2①)

事故発生時

事故発生時

  1. 乗合バスが乗客を乗せ運行中、後続の自動車に追突され、乗客数名が重軽傷を負う事故が発生した。当該バスの運転者は、事故発生時にとるべき措置を講じた後、営業所の運行管理者に、事故の発生および被害の状況等について連絡した。連絡を受けた運行管理者は、自社の規程に基づき、運転者から事故の状況及び乗客の状態等を確認し、負傷者の家族に連絡するとともに、負傷しなかった当該バスの乗客の意向を踏まえ、乗客を出発地まで送還するための代替バスを運行させた。(H29②、R1①)

運行管理者の責務運行管理者が日々学んで実務に役立てるべきこと

明るい職場環境の構築

明るい職場環境

  • 運行管理者は、運行管理業務に精通し、確実に遂行しなければならない。そのためにも自動車輸送に関連する諸規制を理解し、実務知識を身につけると共に、日頃から運転者と積極的にコミュニケーションを図り、必要な場合にあっては運転者の声を自動車運送事業者に伝え、常に安全で明るい職場環境を築いていくことも重要な役割である。(R2Ⓒ)

事故防止への取り組み

勉強

  1. 運行管理者は、仮に事故が発生していない場合でも、同業他社の事故防止の取組事例などを参考にしながら、現状の事故防止対策を分析・評価することなどにより、絶えず運行管理業務の改善に向けて努力していくことも重要な役割である。(R2①)
  2. 運行管理者は、運転者の指導教育を実施していく際、運転者一人ひとりの個性に応じた助言・指導(カウンセリング)を行うことも重要である。そのためには、日頃から運転者の性格や能力、事故歴のほか、場合によっては個人的な事情についても把握し、そして、これらに基づいて助言・指導を積み重ねることによって事故防止を図ることも重要な役割である。(H30②)
  3. 危険ドラッグ等の薬物を使用して運転した場合には、重大な事故を引き起こす危険性が高まり、その結果取り返しのつかない被害を生じることもあることから、運行管理者は、常日頃からこれらの薬物を使用しないよう、運転者等に対し強く指導している。(H29①)

過去問題集ランダムに出題されます

交通事故及び緊急事態が発生した場合における運行管理者又は事業用自動車の運転者の措置に関する次の記述のうち、適切なものをすべて選びなさい。なお、解答にあたっては、各選択肢に記載されている事項以外は考慮しないものとする。

1.貸切バスが営業所に戻るため回送で高速道路を運行中、サービスエリアにおいて当該バスの運転者から、営業所の運行管理者に対し、「現在走行している地域の天候が急変し、雪が強く降りはじめた。視界も悪くなってきたので、一時運転を中断している。」との連絡があった。連絡を受けた運行管理者は、「営業所では判断できないので、運行する経路を運転者自ら判断し、また、運行することが困難な状況に至った場合は、適当な待避場所を見つけて運転者自らの判断で運行の中断等を行うこと」を指示した。

2.タクシーが空車で運行中、オートバイと接触事故を起こした。オートバイの運転者が足を負傷し自力で動けなかったので、当該運転者を救護するため歩道に移動させた。その後、双方の事故車両を道路脇に移動させ、発炎筒を使用して後続車に注意を促すとともに、救急車の手配と警察への通報を行い、運行管理者に連絡し、到着した警察官に事故について報告した。

3.乗合バスが乗客を乗せて運行中、後続の自動車に追突され、乗客数名が重軽傷を負う事故が発生した。当該バスの運転者は、事故発生時にとるべき措置を講じた後、営業所の運行管理者に、事故の発生及び被害の状況等について連絡した。連絡を受けた運行管理者は、自社の規程に基づき、運転者から事故の状況及び乗客の状態等を確認し、負傷者の家族に連絡するとともに、負傷しなかった当該バスの乗客の意向を踏まえ、乗客を出発地まで送還するための代替バスを運行させた。

4.タクシーの運転者が空車で運転中、交差点内で接触事故を起こした。当方及び相手方の運転者にけがはなく、双方の自動車の損傷も軽微なものであった。相手方の運転者との話し合いの結果、事故はお互いの過失によるものであることから、自動車の修理費用についてはお互いが自己負担することとし、警察官には事故の報告をしないことにした。

1 2 3 4

▼ 答え

運行管理者の日常業務の記録等に関する次の記述のうち、適切なもをすべて選びなさい。なお、解答にあたっては、各選択肢に記載されている事項以外は考慮しないものとする。

1.運行管理者は、選任された運転者ごとに採用時に提出させた履歴書が、法令で定める乗務員台帳の記載事項の内容を概ね網羅していることから、これを当該台帳として使用し、索引簿なども作成のうえ、営業所に備え管理をしている。

2.運行管理者は、事業者が定めた勤務時間及び乗務時間の範囲内で、運転者が過労とならないよう十分考慮しながら、天候や道路状況などを勘案しつつ、乗務割を作成している。なお、乗務については、早めに運転者に知らせるため、事前に予定を示すことにしている。

3.運行管理者は、事業用自動車の運行中に暴風雪等に遭遇した場合、運転者から迅速に状況を報告させるとともに、その状況に応じて、運行休止を含めた具体的な指示を行うこととしている。また、報告を受けた事項や指示した内容については、異常気象時等の措置として、詳細に記録している。

4.運行管理者は、運転者に法令に基づく運行指示書を携行させ、運行させている途中において、自然災害により運行経路の変更を余儀なくされた。このため、当該運行管理者は、当該運転者に対して電話等により変更の指示を行ったが、携行させている運行指示書については帰庫後提出させ、運行管理者自ら当該変更内容を記載のうえ保管し、運行の安全確保を図った。

1 2 3 4

▼ 答え